バイオリアクター素子 工業的利用 分析、計測への応用 |
生体内の化学変化は酵素で触媒される。その機構を有用物質生産や分析に利用するシステムをバイオリアクター(bioreactor)という。バイオリアクターの中心となるのは不溶性の担体に結合させた固定化酵素である。これによって,触媒となる酵素と生産物を容易に分離することができる。固定化酵素は,研究,医療,分析,産業に広く利用されている。
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反応素子(生体触媒)の固定化法 |
担体結合法 | 多糖(セルロース,アガロース),無機物質(多孔質ガラス,金属酸化物) 合成高分子(ポリアクリルアミド,ポリスチレン樹脂) |
架橋法 | OHC-(CH2)3-CHO (グルタルアルデヒド) O=N=C-(CH2)3-C=N=O |
包括法 | 多糖(アルギン酸,カラギーナン),ポリアクリルアミド,ENT,PU,ナイロン |
アルギン酸(分子量5〜20万) | κ-カラギーナン(分子量10〜80万) |
ENT |
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PU |
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アクリルアミド | |
代表的な包括剤の化学構造 |
《一言》 アルギン酸は昆布などに含まれる多糖類で,可食性であるため,いくつかの食品に利用されている。 (左)人工種子,(右)人工イクラ |
アミノアシラーゼを用いるL-アミノ酸の合成反応 |
固定化アミノアシラーゼによるL-アミノ_の連続製造装置と製造コスト |
フマル酸とアンモニアを原料とした L-アスパラギン酸とL-アラニンの合成反応 |
固定化E.coli (大腸菌)によるL-アスパラギン酸および Pseudomonas dacunhae菌によるL-アラニンの連続製造装置 |
生産物 | 固定化触媒 | 基質(原料) | 工業化年次 |
L-アミノ酸 異性化糖 L-アスパラギン酸 6-アミノペニシラン酸 L-リンゴ酸 低乳糖ミルク L-アラニン アクリルアミド パラチノース フラクトオリゴ糖 カカオバター様油脂 D-アスパラギン酸 マルトオリゴ糖 ラガービール 乾燥卵白 無苦味果汁 清澄ビール 脂肪酸 ステロイド類 ATP 核酸系調味料 ワイン,日本酒 酢酸 クエン酸 |
アミノアシラーゼ グルコースイソメラーゼ アスパルターゼ(菌体) ペニシリンアミラーゼ フマラーゼ(菌体) ラクターゼ L-Asp b-脱炭酸酵素(菌体) ニトリルヒドラターゼ(菌体) a-グルコシルトランスフェラーゼ(菌体) b-フルクトフラノシダーゼ(菌体) リパーゼ L-Asp b-脱炭酸酵素(菌体) マルトオリゴ糖生成酵素 ビール酵母 グルコース酸化酵素 ナリンジナーゼ パパイン リパーゼ 脱水素酵素(菌体) アセテートキナーゼ ホスホジエステラーゼ 酵母 酢酸菌 黒かび |
アセチル-DL-アミノ酸 グルコース フマル酸 ペニシリンG フマル酸 牛乳 L-アスパラギン アクリロニトリル ショ糖 ショ糖 植物油 DL-アスパラギン酸 液化デンプン 若ビール 卵白 天然果汁 若いビール 植物油 その前駆体 ADP 酵母核酸 果汁,米もろみ エタノール グルコース |
1969 1973-75 1973 1973 1974 1977 1982 1985 1985 1985 1988 1988 1991 1991 - - - - - - - - - - |
固定化酵母を利用したビールの製造(フィンランド) |
固定化生体触媒による有機化合物の合成の例 |
固定化生体触媒による天然有機物の変換 |
オートアナライザーのしくみ |
固定化ウリカーゼカラムを用いるオートアナライザーによる血中尿酸の自動分析 |
グルコース酸化酵素を用いるグルコース電極 (L. C. Clark et al. 1962) |
アンペロメトリー法 | ポテンシオメトリー法 |
イオン感受性電界効果型トランジスター(ISFET) |
酵素 | 基質 | 発熱量(kJ/mol) |
乳酸脱水素酵素 グルコース酸化酵素 コレステロール酸化酵素 ウリカーゼ カタラーゼ ヘキソキナーゼ トリプシン アスパラギナーゼ ウレアーゼ ペニシリナーゼ |
ピルビン酸Na グルコース コレステロール 尿酸 過酸化水素 グルコース Bz-L-Arg-NH2 L-アスパラギン酸 尿素 ペニシリンG |
44.4 80.0 52.9 49.1 100.4 27.6 27.8 23.9 6.6 67.0 |
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